たかがバロウズ本

最高峰のバロウズ研究書となっているし、文学者の研究においてこんなに面白い読み物はない。バロウズは実際のバロウズ本よりも、こういう沸いて出てくる副産物が面白くなってしまう、それもバロウズ、ということが書かれているかもしれない。
バロウズの本をきちんと読もうとすると気が狂う。最初から「つまらない」と思って読むと、なぜか描かれている光景が浮かんできて、吸い込まれそうに感じる。でもそれは私が速読だからなのか、とこの本を読んで思った。

この本はほんとに面白くって、【バロウズ小説のミクロ経済分析】と題して、数式を使ったりしていろいろ分析している。その結果

バロウズを享受できる読者とは」以下の通り。
1)おもしろいフレーズに過大な価値を置く人
2)時間コスト(つまりは所得水準)がきわめて低い暇人
3)文を読む速度が異様にはやい人物

ああ、私も当てはまる。

そしてバロウズカットアップについては、カットアップされているページの割合と、「the」の個数分析などを試みている。すごい、これこそ研究だ。

山形浩生でないと書けないだろう、カットアップの訳、っていうか補充の文章がめちゃくちゃ素晴らしいし、「ええええー、こんなことまでわかるの???」といった感じ。
バロウズ本に出ている言葉をキーワード(っていうか関数)としてDBから文章を補講しているようで、すごすぎます。で、なんか笑えちゃいました。

PDFにて全文公開。PDFでこれだけの長文読むのは大変ですけれど、、(ちなみに横書、本は縦書きです)

Book of William S. Burroughs Support Page

たかがバロウズ本。

たかがバロウズ本。