なんにもないところから芸術がはじまる


『新潮』に連載されていたものの単行本化。『新潮』は図書館で読んでいたので、半分読んでる気がしますが、改めて読んでみると著者の広い見識というかスケール感を感じて楽しかった。

なんにもないところから芸術がはじまる

なんにもないところから芸術がはじまる

最初の2つが「バニシングポイント」と「ワラッテイイトモ!」の展示。二つとも印象に残っていて見に行ったので、なんだか懐かしいという気持ちばかりで、内容は頭に入らなかった。というか、この二つは「時間」がとても大事なもの作品だと思う。その時間は展覧が行われているときだけ感じられるもので、これだけときが経つとなんだか「懐かしい」という気持ちしか残らないんだなと感慨深かった。芸術作品で「なつかしい」という気持ちが起きるのは変な気がしたけれど、そういう作品もあるんだな。

で、面白かったのは榎忠のところ。私は椹木野衣のこういう評論が好きなんだなあと思った。時代と作品と事件が混じっているような芸術。それが一番好きなんだろうなあ。

ちなみに高校生の時から私は子供が産まれたら「野衣」という名前をつけようと思っていたんだけど、苗字との相性(画数)が悪くて断念した。苗字が「椹木」じゃないと駄目なのかな。