いつかソウル・トレインに乗る日まで

高橋源一郎初の純愛小説とのこと。たしかにここには愛が描かれている。でも、これが純愛なのか、恋愛なのか、親愛なのか。とにかく高橋源一郎作品なので、構成が少しこっているし、時代も動く、文章を読んでいるだけで、物語の中で描かれている純愛に興味がなくとも、引き込まれていく。 

いつかソウル・トレインに乗る日まで

いつかソウル・トレインに乗る日まで


元左翼の活動家で現在は新聞社に勤める主人公は、以前いた韓国へと旅立ち。昔の恋人の娘と出会う。そしてすぐに恋に落ちる。二人は人里離れた宿で愛を育む。、、というような話だけれど、この「傷心で旅をし、その場所で恋に落ち、世間と切り離されたところで愛を育む」というストーリーはよくあると思うけれど、その安易なストーリーも二人の台詞が丁寧に書かれていて、単なるコイバナにはなっていない。また昔の恋人の娘を韓国人にしたことで、恋愛に対する「情熱」がより描かれている。いくらなんでも、日本人の娘でこういうこといってたらかなり普通じゃない。いや、韓国でもそうなのかな。というくだらないことを本を読んで2日たつ今は考えられるけど、読んでいるときは夢中でそんなこと考えなかったな。結構、厚い本だけれどすぐに読めました。でも私はやっぱり恋愛モノは苦手。