一九七二 坪内祐三

副題「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」。

「ひとつの時代の終わりとしての1972年。ひとつの時代の始まりとしての1972年。1972年を結節点として近・現代を読み解こうという試み」だそうです。

私にとっては1989年かなあ?誰でも人生にそういう大事な1年ってありますよね。よく考えると、著者坪内祐三さん(S33年生)にとっての1972年も私(S51年生)にとっても1989年も中学生だ。中学時代って大事だよね。

ただ、72年というと歴史的にすごい年。なんといっても連合赤軍事件や浅間山荘事件がある。とちゅう、この本はその話に深く入り込んでしまう(しかもとてもその部分は面白い)んだけど、それ以外にも「日活ロマンポルノ」の誕生とか、「四畳半襖の下張」事件、ぴあ誕生、はっぴいえんど、キャロルの登場とサブカル要素がまんべんなく掲載されていて面白い。

ただこの時代の出来事を並べるだけでなく、当時中学生だった著者が感じたことと、今思うこと(結果として)が両方書いてあるのが、新しい気がした。甘酸っぱい気持ちにもなる。