ニートピア2010

最新の短編集。表題作が特に面白いわけでもないので、キャッチーなのでこの題名にしたのかなあ。だとすると、それはそれでこの本を表していて面白いなあと思える短編集。

ニートピア2010

ニートピア2010

文章を書くこと、書かないと生活できないけど、貧窮しちゃうし、といつも「嫌々」なことをいっている著者が、その嫌々さを見せながら、やる気がなくともこれだけの文章表現はできるということを見せているようで、実はいろいろ計算されているなああと思う作品が多い。なんだか初期の町田康の作品にあった「嫌々」だといいつつも計算された巧さを感じる作品ばかり。面白いといえば、面白いのだけど、技術力ばかり目立ってしまっているようにも思う。

中原さんの文章は相当巧いのは知っていて、最初に映画のコラムを読んだ15年くらい前から「天才だなあ」と思っているので、もう一皮剥けてほしいと勝手に思ってしまいます。その前の序章として読むと、いい本だと思います。